ビジネスの現場では、上司や役員に対して「決裁依頼」を行う機会が少なくありません。
社内規程に基づく承認や、予算・契約の承認依頼など、決裁は組織運営において非常に重要なプロセスです。
しかし、いざ依頼文を作成しようとすると、「どのように表現すれば失礼にならないか」「要点をどう整理すればよいか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、決裁依頼の基本的なポイントを整理したうえで、実際に使えるメールや文書の例文を多数紹介します。
丁寧でわかりやすい依頼文を書くコツを押さえることで、承認がスムーズに進み、ビジネスの信頼関係構築にもつながります。
決裁依頼とは何か?その重要性を理解する
決裁依頼とは、組織において権限を持つ上司や役員に対し、一定の案件について承認を求める手続きのことを指します。
たとえば、以下のようなケースで必要となります。
- 予算の使用や支出に関する承認
- 契約締結に関する承認
- 新規プロジェクトの開始に伴う承認
- 人事や組織変更に関する承認
決裁依頼が適切に行われないと、社内規程違反や業務の停滞につながる恐れがあります。
一方で、丁寧で要点を押さえた依頼文は、承認者の判断を助け、迅速な意思決定を促進します。
決裁依頼文を書く際の基本ポイント
決裁依頼文を作成する際には、以下の3点が特に重要です。
- 依頼の趣旨を明確にする
何を承認してもらいたいのかを冒頭で端的に示します。 - 根拠や背景を示す
なぜその決裁が必要なのか、背景事情や必要性を簡潔に説明します。 - 添付資料や金額を明記する
契約書や見積書などの資料を添付し、具体的な金額や条件を明記することで判断しやすくなります。
決裁依頼メールの基本構成
決裁依頼の文面は、以下のような構成にするとわかりやすく整理できます。
- 件名:決裁依頼であることを明確に示す
- 宛名・挨拶:上司への敬意を表す
- 依頼内容の要点:承認してもらいたい事項を端的に記載
- 詳細説明:背景や理由を簡潔に説明
- 添付資料の案内:必要な資料を添付している旨を記載
- 結びの言葉:丁寧に依頼を締めくくる
決裁依頼の例文集
例文1:予算承認を依頼する場合
件名:予算使用に関する決裁依頼(営業部プロジェクト費用)
〇〇部長
お疲れさまです。営業部の△△です。
このたび、新規顧客獲得プロジェクトに伴い、広告宣伝費用として50万円の支出を予定しております。
つきましては、添付の見積書をご確認いただき、ご承認いただけますようお願い申し上げます。
【支出内容】
・媒体:〇〇広告
・期間:2025年10月~2025年12月
・金額:500,000円(税込)
ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
例文2:契約締結に関する決裁依頼
件名:契約書締結に伴う決裁依頼(株式会社〇〇との業務委託契約)
〇〇部長
お疲れさまです。管理部の△△です。
株式会社〇〇との業務委託契約書(添付)について、締結のご承認をお願い申し上げます。
本契約は来月より開始予定のシステム保守業務に関するものであり、契約金額は年間120万円となります。
詳細条件は添付資料に記載しておりますので、ご確認のうえ、ご承認を賜りますようお願い申し上げます。
例文3:出張・旅費精算に関する決裁依頼
件名:出張に伴う旅費精算の決裁依頼
〇〇部長
お疲れさまです。△△課の□□です。
先日の大阪出張に伴い発生した旅費(交通費・宿泊費)の精算について、決裁をお願い申し上げます。
【精算内容】
・交通費:新幹線往復 28,000円
・宿泊費:12,000円
・合計:40,000円
領収書を添付しておりますので、ご確認のうえ承認いただければ幸いです。
例文4:新規プロジェクト開始の承認依頼
件名:新規プロジェクト立ち上げに関する決裁依頼
〇〇部長
お疲れさまです。企画部の△△です。
このたび、来期より新規サービス「〇〇」を立ち上げる計画について、決裁をお願い申し上げます。
【概要】
・目的:新規顧客層の開拓
・期間:2026年1月~2026年6月
・予算:300万円(詳細は添付資料参照)
必要性・期待効果の詳細は企画書にまとめております。
ご多忙のところ恐れ入りますが、ご確認のほどお願い申し上げます。
例文5:人事異動に関する決裁依頼
件名:人事異動に関する決裁依頼
〇〇部長
お疲れさまです。人事部の△△です。
下記の通り、来月1日付での人事異動案について決裁をお願い申し上げます。
【異動内容】
・氏名:□□ □□
・現所属:営業部 第一課
・異動先:企画部 第二課
・理由:組織強化及び人材育成のため
詳細は添付の人事異動案に記載しておりますので、ご確認いただき、ご承認を賜りますようお願い申し上げます。
決裁依頼をスムーズに通すための工夫
- 件名を具体的にする:「決裁依頼」だけでなく「契約締結決裁依頼」など内容を明示する
- 簡潔な文章を心がける:長文にならないよう要点をまとめる
- 資料の整備:承認者が一目で理解できるよう資料を添付
- 期日を明記する:「〇月〇日までに承認をお願いしたい」など期限を明記すると処理が早まる
まとめ
決裁依頼は、ビジネスの円滑な意思決定を支える重要なプロセスです。
依頼文は「要点を明確に」「背景を簡潔に」「資料を添付」の3点を意識することで、承認者にとって判断しやすくなります。
今回紹介した例文を参考に、自分の業務に合わせてアレンジすれば、よりスムーズな決裁依頼が可能になるでしょう。
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